入鹿池

心霊スポット名：入鹿池（いるかいけ）

1633年に造られた日本で第1位の貯水量を持つ人工の農業用ため池で、池の周囲は16キロ。
2010年に農林水産省のため池百選に選定され、2015年には国際かんがい排水委員会による世界かんがい施設遺産にも登録された。
ボート遊びなど四季を通して美しい自然を楽しむことができ、ワカサギ釣りのメッカとしても知られる。ブラックバス釣りやヘラブナ釣り場としても人気があり、ボートや釣り竿も貸し出ししている。
いっぽうでこの場所は心霊スポットとしてもよく知られており自殺も多いという。
入鹿池周辺で起こる怪奇現象は複数あり、「トランペット少年」「池で亡くなった者の霊」「ターボ爺」「ジャンピング婆」「スクワット爺」などがある。

「トランペット少年」とは、深夜、入鹿池に行くと、どこからともなくトランペットの音聞こえてくる。聞こえてくる方を見ると池の水面に立った少年がトランペットを吹いているというもの。
ただたんに家で吹くと近所迷惑なので入鹿池で練習していただけなのでは？という意見もあるが、生きた人間であれば池の水面に立つなど不可能であることは言うまでもない。
一説には、戦争中に入鹿池付近でラッパの練習をしていた少年兵が戦争の被害により命を落とし、霊になってもラッパを吹き続けているという話がある。愛知県は1945年に米軍により名古屋大空襲を受けており、入鹿池から少し離れているが7月23日の夜には犬山市白山平一帯も空襲を受け、焼夷弾約300発が投下されている。生き残った者のなかには身内や親族が亡くなった者や絶望して自殺する者、病死した者もいたことだろう。そういった戦時中の悲劇から生まれたトランペット少年なのかもしれない。

「池で亡くなった者の霊」は複数あり、一番知られているのが女子高生が受験を苦にして橋から飛び降り自殺し、それ以降、このショートカットの女子高生の霊が橋付近をさ迷っているのが目撃されているという話。時期は1990年代半と思われ、霊の目撃がある橋とは県道49号線の五条川の上に架かる「入鹿大橋」という赤色の大きな橋。
また、1999年3月10日には入鹿池で、ブラックバス釣りに来た学生2名が乗ったボートが転覆し、1人は池にのみ込まれ亡くなっている。
2013年には殺害した女性の遺体を切断し、25ヶ所に遺棄される事件も起こっている。遺棄された場所のなかのひとつは入鹿池だったと犯人は供述している。遺体は見つけることはできていない。
ほかにも入鹿池付近で首吊り自殺した遺体が見つかったこともあるとか。1980年代には､お爺さんが病気のお婆さんを背負って入水自殺したという話もあるようだ｡
これに関連してか「ターボ爺」「ジャンピング婆」「スクワット爺」といった老人に関する都市伝説的なウワサ話も多い。

「ターボ爺」は、入鹿池付近の道路を車で走っていると物凄いスピードで迫ってくるというもの。これと似た話で、交差点でグルグルと高速回転している「ローリング爺」や、追い越した後にUターンして高速で向かってくる「Uターン爺」といった話もある。
「ジャンピング婆」は、突然横から道路に飛び出してきてピョンピョン跳ねながら後ろから追いかけてくるという。面白い話では、この「ローリング爺」と「ジャンピング婆」が同時に現れた際には合体してジャンピング回転しながら追いかけてくるというのだ。
「スクワット爺」というのはどのような爺なのかは分からないが、前述の都市伝説から想像するにおおかたスクワットしながら追いかけてくるとか、突然スクワットをしだすといった爺だろう。
なお、これらの爺さんと婆さんには逆のパターンもあり。

過去に遡ると、明治元年の1868年には大雨により百間堤が決壊し、入鹿池に貯まった水は下流に溢れ、多大な被害を出した「入鹿切れ」という大災害が起こっている。
その被害は死者941人、負傷者1471人ともいわれ、水が引いた後には腐乱死体がそこら中に転がっている有様であったという。
この「入鹿切れ」という大災害が起こる直前に不思議な出来事があったという伝説もある。
尾張富士という犬山市南部に位置する山に向かって「やろかやろかやろか」と叫ぶ者がおり、それに対し「いこさばいこせ」と返したところ、翌日から大雨が降り出し大災害になった。これを「やろか雨」という。
また、入鹿池の主である2頭の馬が雨水を飲んでいたが、ついにあきらめて昇天し、直後に堤が切れたとか、堤が切れる直前に池の主である陣羽織を着た武士が馬に乗って空中を駆けて行ったとか。さらには堤が切れる直前、池に火の玉が出たとか、数日前に池に火柱が立ったといくつもの伝説がある。