栃木県大田原市黒羽田町の大雄寺には昔から語り継がれる掛け軸の伝説がある。
さかのぼること江戸時代の話、大子(当時の茨城県大子町)から黒羽に障子紙を売りに来た行商人は泊まるところがなかったため大雄寺に宿泊した。
その行商人が泊まった「牡丹の間」という部屋には幽霊の掛け軸があった。
その部屋で寝ていた行商人は夜更けにふと気配を感じ目を覚ました。
何か様子が違うことに気づき辺りを見渡すと、枕元にあったはずの荷物と掛け軸が足元にあり、布団が180度回転していたという。
行商人はその状況を知って怖くなり大慌てで逃げ出した、という言い伝え。
この行商人だけにとどまらず、枕返しの掛け軸がある部屋で寝た人々は朝目が覚めたとき、綺麗に体が逆さまになっていたり、中には目覚めた瞬間、枕元に幽霊が立っていたという人もいたという。
このような怪現象に襲われ部屋を飛び出す人が後を絶たなかったとか・・・。
枕返しの幽霊の絵は画家、古柳園鶯居(こりゅうえんおうきょ)が母親の肖像を描いたものと伝えられている。
幽霊の掛け軸とともに江戸時代から伝えられてきた怪談「枕返しの幽霊」は2014年3月には漫画としても出版された。
大雄寺住職の倉沢良裕さん(63)は「漫画にしたことで子供たちをはじめ多くの人に分かりやすく楽しんでもらえる」と話しているという。
また、妖怪枕返しと言えばゲゲゲの鬼太郎なんかで幅広く知られている。